相続手続きに必要な書類 ~戸籍について〜
「相続手続きには証明書類が必要です」
相続が起きた時に誰が故人の財産を受け継いでいくかについては基本的に2つの方法があり、遺言書があればその通りに、遺言書が無ければ相続権のある家族が話し合って決めることになります。
この後者の話し合いがなかなかうまくいかずトラブルに発展してしまうことが有るのです。うまく合意したとしてもこの合意書(遺産分割協議書)だけで相続手続きができるわけではありません。戸籍謄本等や印鑑証明書等の証明書類も必要となりますし、そもそも個人の財産を分けるためにはどんな財産がどのくらい有るかを調査しなくてはなりません。
相続手続きを進めるためには、諸々の調査やその証明書類が必要なのです。
「なぜ戸籍が必要なのか」
相続を経験された人の中には、同じ相続人である親族から「手続きに必要だから自分の戸籍と印鑑証明を用意して」と言われた方も多いのではないでしょうか。
これは相続権を持つ人であることを証明するのに必要な書類だからで、いわゆる相続関係は戸籍等によって証明することになっています。
例えば、夫が亡くなり妻と長男が遺された場合、妻と長男が相続人であることを戸籍等によって証明するわけです。逆にいうと、この証明は妻と長男以外に相続人がいない事の証明でもあるのです。この場合は亡くなった夫の一生涯の戸籍等も必要がなります。なぜかというと、例えばこの亡くなった夫が再婚だった場合、前婚時にお子さんがいたとしても再婚した後の戸籍には載っていない場合もあるからです。(無論、前婚時のお子さんがいた場合はそのお子さんも相続人となるため、そのお子さんが入っていない合意は無効となります)
そのため、相続における合意書つまり遺産分割協議書には、財産の分割方法だけでなく、①合意した全員に相続権があること ②合意した人以外に相続人がいないこと の裏付けが必要となり、裏付けの証明となる戸籍一式の準備も必要になってくるのです。
「法定相続情報一覧図を取得するためにも」
最近の相続手続きの現場においては、手続き書類を提出する際に証明戸籍一式の代わりに「法定相続情報一覧図(の写し)」というものを1枚添付すれば手続きできることが増えてまいりました。ただし、この「法定相続情報一覧図(の写し)」を取得するためには法務局に証明戸籍一式を相続関係一覧図とともに提出しなければならないので、いずれにしても、戸籍を集める必要はあるのです。